CLデビュー戦で悲喜交々。南野拓実は胸を張り、伊東純也はうなだれた (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AP/AFLO

 3点目はその2分後。ゲンクのディフェンダーが前線に蹴った中途半端なボールをカットすると、そのままゴール前へロングパス。抜け出したヒチャンがGKとの1対1を制して3-0とした。

「自分としても、あんなに簡単に失点したり、こんな大差で負けたことはなかったですし、前半は難しかったと思います。カウンターで入れ替わって失点というのが続いて、(自分が攻撃的にプレーすることは)より難しくなったかなと思います」

 伊東は腑に落ちないというような表情で話した。ゲンクは前半さらに2失点し、後半も1失点。トータル6-2で試合は終了した。

 フル出場の南野は先制点に続き、前半アディショナルタイムにも、左からクロスをあげてドミニク・ソボスライの5点目のゴールをアシスト。大勝に貢献した。また、奥川雅也も後半17分、ソボスライに代わって途中出場を果たしている。

「チームの勝利に貢献できてよかったと思います。ふたつのアシストとも、自分の長所をうまく出せたのでよかったと思っています」

 2アシストと大勝を、南野は素直に喜んだ。

 この試合、誰よりも存在感を見せたのはザルツブルクのFW、ハーランドだった。ノルウェーのモルデでオーレ・グンナー・スールシャール(現マンチェスター・ユナイテッド監督)の指導を受け、今季からザルツブルクでプレーする19歳。すでにオーストリアリーグでは7試合で11得点を決め、大物ぶりを見せつけている。今年の夏に行なわれたU-20W杯では、ニュージーランドを相手に9得点したことでも話題になった。194㎝の高身長。身体を張って強いのはもちろん、足元の技術が高く、スピードもある。

 この日、ハーランドは3得点を挙げたが、これはウェイン・ルーニー、ラウル・ゴンザレスについで史上3番目の若さでのCLハットトリックだった。日本人3選手のCLデビューもかすんでしまうほどの存在感。そして、こうした選手を発見できるのもまたCLの醍醐味だろう。

 伊東は「(CLを)ベルギーリーグと比べる間もなかった。次にまた頑張ります」と、淡々と話した。ここで何を感じ、何を次につなげていくかが、何より大切になる。

 対照的に南野は、「スタジアムの雰囲気も最高でしたし、CLのアンセムを聞いた時はモチベーションが高まりました」と、その高揚感を語る。

 2人のテンションの差にも、CLの勝負の厳しさが現れていた。



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