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勝者なきネイマールPSG残留の全内幕。
すべてのカギを握る人物とは? (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳translation by Tonegawa Akiko

 決して首を縦に振らないPSGにネイマールは焦り出し、最終手段に出た。1億3000万ユーロのオファーをしているバルセロナに対して、自分も2000万ユーロ(約24億円)から2500万ユーロ(約30億円)の自腹を切って応援すると申し出たのだ。

 だが、この頃になるとバルセロナもさすがにPSGの意図に気付き、バルトメウ会長がキレた。

「もうたくさんだ!」

 結局、ネイマールはパリに残った。

 今回の移籍劇に勝者はいない。誰もが敗者だ。

 まずネイマール。今回の騒動で、彼は契約を尊重しない選手であるイメージがより濃くなってしまった。実際これまでの移籍でも、すべて契約違反をしている。そんなネイマールを獲得しようと、世界中が注目するなかでオファーを吊り上げさせられ、しかし結局は失敗したバルセロナもいい面汚しだ。チーム幹部は不満を抱き、バルトメウ会長はメンツを失った。選手もサポーターも地元メディアも、これを屈辱と感じている。

 PSGも、日を追うごとに価値の下がっていく、チームにいたくもない選手を保有し続けることになる。サポーターとの関係は破綻しているし、フランス語はしゃべれないから地元メディアには何も話さない、欧州王者を目指すチームにはふさわしくない選手だ。ネイマール獲得時に支払った2億2200万ユーロは決して回収できないだろう。
 
 ブラジルもそうだ。国を代表するスター選手が、ウソつきで、無責任であることを世界中に暴露されてしまった。

 バルセロナは2020年の夏に再びネイマールの獲得を画策し、FIFAがそれに介入し、PSGに選手を売るよう勧告すると言われているが......確かなことはわからない。

 とにかく、ネイマールはパリにいなければならなくなった。どんな小さなミスでも、サポーターは思い切りブーイングするだろう。彼らは決してネイマールを認めまい。いや、それも、出場する機会があればの話だ。移籍市場が閉まる直前に、PSGはインテルからマウロ・イカルディを獲得した。ネイマールと同じポジションの選手だ。これは、ネイマールが態度を改めなければ、飼い殺しにされかねないことを示唆している。

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