勝者なきネイマールPSG残留の全内幕。
すべてのカギを握る人物とは? (3ページ目)
しかしそれも、メッシのひと言で風向きが変わった。メッシはバルトメウ会長に、ネイマールを獲得してほしいと直訴したのだ。チャンピオンズリーグの準決勝でリバプールにてひどく敗れてから、メッシは考えていた。彼が再びビックイヤー(優勝トロフィー)を天に掲げるために、唯一助けとなる選手、それはネイマールだと。バルセロナでは、メッシの声は神の声に等しい。必ず叶えなければならない。こうしてバルセロナもネイマール獲得に動き出した。
ただしバルセロナに、それほど資金は残されてなかった。バルセロナがまず提示した金額は、PSGの望むものからは程遠かった。そこでネイマールの父は、親しい代理人を使って、舞台にレアル・マドリードを引っ張り上げた。ネイマールはレアルになど行きたくもないし、もし行ったら、それこそ一生、裏切り者だ。移籍はあり得ない。すべてはバルセロナに、より高い移籍金を出させるための手段だった。この作戦は功を奏し、バルセロナは移籍金の額を上げた。
また、ユベントスはクリスティアーノ・ロナウドの意を受けて、謙虚なオファーをした。ネイマールがPSGを離れたがっていること、バルセロナには帰れないこと、レアルに行くのは不可能であることを考えて、万が一の可能性に賭けたのだ。
最終的にバルセロナが出した金額は1億3000万ユーロ(約156億円)。それにラキティッチとネルソン・セメドとウスマン・デンベレ。ネイマールもそしてバルセロナも、そこまで金を積めば移籍は可能だと考えていた。しかし、それは考え違いだった。
ネイマールの行動は、砂漠の国の首長の逆鱗に触れた。アール=サーニーはこう決心していた。自分のメンツをつぶしたネイマールとその父親は許さない。PSGには早いうちからこのような指令が飛んでいた。
「ネイマールは売るな。チームは彼のものではない」
その意を受けて、PSGのナセル・アル=ヘラフィ会長は「バルセロナが3億ユーロ(約360億円)払えば、ネイマールを渡そう」と発言。3億ユーロ......ありえない金額である。
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