日本人激減のブンデスリーガ。
大迫、長谷部はなぜ通用しているのか (2ページ目)
長谷部誠(フランクフルト)と大迫勇也(ブレーメン)は主力中の主力としてチームに残った。昨季はシント・トロイデンでプレーした鎌田大地(フランクフルト)も、復帰するやドイツ杯で得点を挙げるなど、プレシーズンで結果を出し、15番という背番号を与えられて開幕を迎えることになった。
一方、長らくブンデスリーガの日本人選手を代表する存在だった香川真司はスペイン2部のサラゴサに完全移籍した。一時は10人を超えたブンデス1部の日本人選手は現在のところ上記の3人のみ。「日本人が多いブンデスリーガ」という印象は薄れ、一時代が終わった感すらある。
日本人選手の数という意味だけではない。香川が去ったのと同時に、ブンデスリーガで求められた"香川的"な日本人選手も皆無になったのである。かつて乾貴士(エイバル)が、「セレッソ大阪から多くの選手が海外に行ったけど、セレッソにとくにいい選手がいたからではない。シンジのおかげで注目してもらえたから」と言っていたことがある。ドルトムントでの香川の活躍を見たドイツの各クラブは、日本には香川のような選手がまだたくさんいるという、一種の幻想を抱いたのだろう。テクニックに秀で、2列目のポジションから大柄なセンターバックの間を絶妙なスピードとタイミングで切り裂き、得点までできる日本人......というイメージだ。
実際、多くの日本人アタッカーがそういうイメージで獲得されてきたが、厳しい言い方をすれば、彼らはものの見事に淘汰された。
今季、クラブに残った大迫と長谷部には、"香川的"ではない、はっきりとした色がある。そしてチームからの期待度は並々ならぬものがある。
大迫には、「今季は真ん中でしかプレーしない、去年からずっと監督にもそう言っている」と断言するように、物静かな印象とは真逆の主張の強さがある。ポジションはワントップか、そのひとつ下になるが、身体の使い方のうまさ、強さはドイツでも群を抜いている。今季、何より求められているのは得点だ。「(フロリアン・コーフェルト)監督から点を取れ、点を取れと言われていて」と話す様子も、どこかうれしそうだ。
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