2019.07.18

7割の人が復帰に残酷なNO。
なのにバルサがネイマールを欲する理由

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Christian Pondella/Getty Images

「TRAIDOR」(裏切り者)

 ブラジル代表FWネイマールはスペイン語でそんな烙印を押された。

 2017年8月、ネイマールは4シーズンを過ごしたバルセロナを未練なく捨て、好条件を提示したパリ・サンジェルマン(PSG)へあっさり鞍替えしている。移籍金は2億2200万ユーロ(約280億円)だった。「リオネル・メッシがいないチームでバロンドールを」という巨大なエゴが移籍の理由だったとも言われる。ともあれ、本人が希望した選択だった。

「裏切られた」

 彼を愛していたバルサのファンにとって、その憎しみが簡単に消えるはずはない。しかし、そのネイマールがバルサ復帰に本腰を入れて交渉を続けているという。

パリ・サンジェルマン退団、バルセロナ復帰が囁かれているネイマール ネイマールはPSGに移籍して2年、不本意なシーズンを過ごしている。バロンドール獲得どころではない。期待されたチャンピオンズリーグ(CL)では2年連続ベスト16止まり。昨季は右足中足骨のケガなどで、シーズンをフルに戦えていない。

 その間のロシアW杯では、触(さわ)られてもいないのに大袈裟に転がって”ダイバー”の誹(そし)りを受け、完全に悪役となってしまった。今や札付きのトラブルメーカー。昨シーズン終盤は、フランスカップ決勝のレンヌ戦で暴言を吐いたファンに怒って殴りつけ、インスタグラムではCLの判定を巡って審判を痛烈に批判し、処分を受けた。とどめは、コパ・アメリカ直前に性的暴行容疑で渦中の人になった。

 ネイマール本人には「こんなはずではない」という苛立ちがあるのだろう。PSGでのプレー自体に辟易しているように見受けられる。そもそもフランスリーグのレベルは、スペイン、イングランドなどに比べると明らかに落ちる。

「楽しかったスペインに戻りたい」

 それが本音だろう。

 実はPSGも、自分本位な言動が目立ち、パフォーマンスも低調なネイマールの扱いに手を焼いている。彼らにとっては、キリアン・ムバッペというエースのメドがついた。2億2200万ユーロの投資を回収できれば、売りに出したいところだ。