シメオネ8年目の大博打。アトレティコ「エースの取り換え」は吉か凶か (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

 ともあれ、アトレティコは競争に勝って、ジョアン・フェリックスを獲得した。交渉に長け、商売上手であるのは間違いない。たとえば昨シーズン、2500万ユーロ(約33億円)の移籍金で獲得したMFロドリゴ・エルナンデスを、先日、マンチェスター・シティに7000万ユーロ(約91億円)で売り渡している。大枚を叩く一方、所属選手の売却によって、7億ユーロ(約910億円)以上の収益を上げてきた。グリーズマンをバルサに売る交渉が成立した場合、総額は8億ユーロ(約1040億円)を軽く超えることになる。

 すなわち、商業的にはけっして赤字になっていないのだ。今回の「エースの取り替え」も、年俸面で大幅な倹約になっている。

 ベンフィカの元監督で、ジョアン・フェリックスをデビューさせたルイ・ヴィトーリアはこう語っている。

「ジョアンは成熟しているし、プレッシャーなど感じない。1億2700万ユーロ? それはアトレティコが払わなかったら、他が払っていた。それに値する選手だ。彼はシメオネのもとで多くを学ぶだろう。犠牲を払うこととディフェンスは改善の余地があるかな。でも、チームにはフィットするはずだ。グリーズマンがやっていたトップ下のポジションが、ジョアンにとってもベストだろう」

 シメオネは今回も賭けに勝つだろうか。

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