オランダ代表よ、自信を持って胸を張れ。この敗戦は必ず次の糧となる (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 現状ではデパイへの負担がかかりすぎ、彼が不調になれば、オランダは前線で何もできなくなってしまう。急ピッチでFW陣の成長を促すとともに、さらなる新星の登場も求められている。

 ただ、最後になってアタッカー陣への批判が湧き出てしまったものの、ネーションズリーグでのオランダの躍進は誰も予期してなかった。2014年ワールドカップ優勝国のドイツ、2018年ワールドカップ優勝国のフランスを倒して準決勝に進出し、2018年ワールドカップ4位のイングランドにも勝ったのだから、オランダは自分たちのことを誇りに思ってもいいだろう。

 ネーションズリーグ・ファイナルズを前に、オランダはKNVB(オランダサッカー協会)の施設で1次合宿を5日間、ポルトガル南部のラゴスで2次合宿を5日間行なった。その後、ベース基地をポルトガル北部のブラガに置き、ネーションズリーグ最後の2試合を戦った。

 これは、ワールドカップやユーロの事前合宿と同じ流れだ。オランダは2020年ユーロを念頭に置いて、ネーションズリーグの準備を行なったのだろう。また、決勝戦という大舞台を完全アウェーのなかでプレーできたのは、オランダの若い選手にとってかけがえのない経験となったに違いない。

 サッカーの世界には、「決勝戦で勝つためには、決勝戦で負ける必要がある」という格言がある。もちろん、なかには初の決勝戦で優勝する国・チームもあるが、今季のリバプールのように昨季の負けを糧(かて)にしてチャンピオンズリーグを制した例などを見ると、納得するところもある。

 今回のオランダは、1988年ユーロ以来のタイトルを狙ったが、残念ながら失敗した。だが、彼らは今回のネーションズリーグ決勝で負けを経験したことにより、近い将来、大きな大会の決勝戦で勝つ権利を得たのではないだろうか。

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