2019.05.08

またもネイマール頼み? コパ・アメリカ
開催国ブラジルに広がる不安

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳
  • translation by Tonegawa Akiko

 しかし、ブラジルサッカーは、以前のようなパワーを失っているようにも感じる。2016年、選手との対話を重視するチッチ-がブラジルの監督に就任した時は、かなりの盛り上がりを見せた。だが、ロシアでベルギーに敗れると、ブラジルは夢さえも失ってしまったようだ。

 ロシアW杯の後、セレソンは8試合の親善試合を戦った。結果は7勝1引き分け。全勝とはいかなかったが、悪い成績ではない。弱いチームばかりを相手にしたわけでもない。アルゼンチンとウルグアイには1-0で勝ったし、アメリカにも2-0で勝利した。

 だがこの1年、セレソンはマスコミやサポーターから散々叩かれてきた。5-0で大勝したエルサルバドル戦は、あまりにも力の差があったので別だが、それ以外の試合では、ブラジルはいつも危うかった。多くの優秀な選手、世界最高とうたわれる選手(ネイマール)を擁していながら、無様なサッカーを見せていた。インスピレーションもイマジネーションもなく、人々は30年ぶりにブラジルで開催されるコパ・アメリカを心配している。

 試合内容を見れば、不安になるのもうなずける。

 最初のショックは昨年10月、アウェーのサウジアラビア戦だった。ブラジルはネイマールも含むベストメンバーでこの試合に臨んだ。コウチーニョ、カゼミーロ(レアル・マドリード)、ガブリエル・ジェズス......。しかし、ブラジルは苦戦した。ものすごく苦戦した。

 前半終了間際のガブリエル・ジェズスのゴールと、アディショナルタイムに入ってからのアレックス・サンドロ(ユベントス)のゴールでどうにか2-0にしたものの、それ以上のゴールを奪えず、ブラジルには問題があることを露呈した。選手が1人退場になり、ブラジルは10人のサウジアラビアに手こずっていた。それどころか、あと少しで同点ゴールも決められるところだった。失望したサポーターは、チッチや選手たちに容赦ないブーイングを浴びせた。

 2018年11月のカメルーン戦でも、ブラジルサッカーの問題点が浮き彫りになった。試合はロンドン郊外のミルトン・キーンズで行なわれたにもかかわらず、3万人ものブラジル人がスタンドを埋めていた。ブラジルはネイマールが早々に負傷退場。何度もゴールに近づくが、エースを欠いたブラジルは、得点までには至らない。