フランクフルトの同僚が語る長谷部誠。「ハセの監督姿を見てみたい」 (3ページ目)

  • 鈴木達朗●取材・文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Getty Images

―― 一方で若い選手については、少し前のインタビューで「今の若い選手たちは、プロとして契約を結ぶことの意味や価値を理解できていない」と話していましたね。

「僕らが育成年代だった頃は、誰もがもっと野心的だった気がする。当時は、今のように育成選手が保護されていなくて、プロ契約を結ぶことを"許される"という認識だった。だから、僕らは契約を勝ち取るために戦わなければならなかったし、その価値はもっと大きかった。中には、とても謙虚で、どのような態度で過ごすべきかを理解している若い選手もいるけど、残念ながら全員がそうではない。

 あまりに若い時期から大きな注目を集めすぎて、どう対処すべきかわかっていない選手が多くなっているように感じるね。14歳、15歳くらいの選手に代理人がついて、彼らのキャリアや人生に影響を及ぼそうとしている。『君はすばらしい。もっと大きなクラブに行けるぞ。移籍しないか?』という具合に。そんなことばかりしていたら、若い選手たちがおかしくなってしまう。プロとして定着するためには、一歩ずつ段階を上げていくために、今やらなければいけないことに集中しなければならないんだけれど......。その環境作りは、ドイツだけでなく現代のサッカー界の大きなテーマだ」

――少し先の話になりますが、経験豊かなルス選手であれば、引退後に指導者になる道も視野に入れていると思います。過去には「アシスタントコーチならイメージできるけれど、監督は無理だな」とも発言していましたが、その意識は変わりませんか?

「自分が指揮官としてピッチ脇に立つ姿が、まったくイメージできないんだ。アシスタントコーチや、監督と選手の間に立って結びつける役割なら考えられるけれど。忍耐強くないから、性格的に監督には向いていないよ。でもハセだったら、完全にそのイメージができる。彼がスーツできっちり身を固めて、タッチライン際から指示を出す姿を見てみたいね」

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