フランクフルトの同僚が語る長谷部誠。「ハセの監督姿を見てみたい」

  • 鈴木達朗●取材・文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Getty Images

 シーズン終盤に差し掛かった今季のブンデスリーガにおいて、アイントラハト・フランクフルトが好調を維持している。リーグでは来季のチャンピオンズリーグ出場圏内である4位を保持し、ヨーロッパリーグでもベスト4に進出。CBとしてチームをけん引する長谷部誠は、現地ドイツでも高く評価されている。

 今回、35歳の長谷部と同様にベテランとしてチームを支える、33歳のDFマルコ・ルスにインタビューを行なった。フランクフルトの下部組織で育ったルスは、2004年にトップチームデビューを果たし、2011年にヴォルフスブルクに移籍。その後、2013年にフランクフルトに復帰している。

 2016年5月には、片方の精巣にガンを発症していることが発覚。手術後のつらい治療を乗り越えて昨年3月に復活し、ドイツサッカーファンの支持を集めた。現在、出場時間は減少しているが、若い選手たちのお手本として存在感を増している。幼少期からフランクフルトでキャリアを重ねてきたルスに、チーム躍進の理由、長谷部の印象を聞いた。

長谷部(左)と共にベテランとしてチームを支えるルス(右)長谷部(左)と共にベテランとしてチームを支えるルス(右)

――今季のチームの調子をどのように見ていますか?

「チームの成績(第31節終了時点でリーグ4位)や選手のプレーぶりはすばらしいね。たぶん、フランクフルトがここまでの戦いを見せるとは、誰も予想していなかったはずだ。たくさんの選手が入れ替わり、前任者とは違ったコンセプトを持つ新監督もやって来たからね。シーズン開幕当初にチームが問題を抱えていたのは明らかだった。選手が新しい戦い方に馴染むこと、監督が僕らを理解することに少し時間が必要だったんだ。

 W杯に参加していた、ハセ(長谷部)のような重要な選手たちの合流が遅れたのも大きかった。でも、徐々にすべてが噛みあってチームがまとまっていき、ヨーロッパリーグでも躍進することができている。それに、このチームはまだ大きなポテンシャルを秘めている。ルカ(・ヨヴィッチ)といった、他のクラブが注目する若い選手たちも多いからね」

――昨シーズンまで指揮を執っていたニコ・コヴァチ監督(現バイエルン監督)は、DFラインを深めに下げる傾向があったのに対し、現在のアディ・ヒュッター監督は前線から積極的にプレスに行くことを好む印象があります。対照的な戦い方に戸惑いはありましたか?

「馴染むのには少し時間を要したけど、戸惑いはなかったよ。重要なのは、前線からプレスを仕掛けるためにDFラインを高く保つことではなく、いかにチームとしてプランを実行に移すか。皆が与えられた役割を理解してアイディアを共有できれば、守備的に戦うことになってもチームは問題なく機能する。今の僕らは、それがしっかりできるようになったんだ」

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