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アヤックス、CL決勝進出に前進。
猛攻を許したトッテナムの計画ミス (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 その理由はさまざまだが、ひと言でまとめれば、攻撃のレベルが大きくアップしたことにある。守りを固めてもやられるケースが、90年代後半を境に目立つようになった。守備的サッカーの衰退は、後ろで守っても0点で抑えられる保証がなくなったことと深い関係がある。

 アルゼンチン代表として20試合に出場経験があるポチェッティーノ。時の監督はマルセロ・ビエルサだった。ビエルサつながりで言えば、エスパニョール時代もポチェッティーノとは監督・選手の関係にあり、ポチェッティーノが監督としてキャリアをスタートさせたのもエスパニョールだった。

 だが、両者のサッカーは似ていない。同門とは言い難い、水と油の関係にある。ポチェッティーノに似ているのはビエルサの一代前、1998年フランスW杯で監督を務めたダニエル・パサレラのサッカーだ。

 ホームのスパーズがアヤックスに0-1で敗れる姿を見て想起したのは、その98年W杯準々決勝、マルセイユのヴェロドロームでオランダに敗れたアルゼンチン代表だ。なぜ守ってしまったのか、という疑問で一致する。

 スパーズがファン・デ・ベークに先制ゴールを奪われたのは前半15分。守りにいったのに、わずか15分で失点したわけだ。残り15分で失点したわけではない。これは完全なプランミスなのである。

 来週行なわれる第2戦には、この第1戦を累積警告のため出場停止となったスパーズのソン・フンミンが戻ってくる。戦力アップは見込める。5バックになりやすい3バックでは、さすがに臨まないだろうと思うが、今度はバックラインの背後を突かれる危険が生まれる。

 第1戦も終盤、カウンターからネレスにポスト直撃弾を浴びているが、そうしたリスクを覚悟で前に行けるか。割り切れるか否かがポイントになる。数字の上ではスパーズは2-0でオッケーなのだが、4点ぐらい奪うつもりでいかないと、勝利の女神は微笑まないだろう。ポチェッティーノにその覚悟はあるか。

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