「ニュータイプ」メッシはバルサをCL優勝に導くか? (2ページ目)

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倉敷 バルサは優勝争いを演じていたライバル、アトレティコ・マドリー戦の直後でしたから体力的、精神的な消耗もあったはずです。

小澤 逆にユナイテッドはスケジュール的に余裕があるなかで戦えたので、コンディションはよかったと思います。ただ、これはエルネスト・バルベルデ監督も含めてのことですが、やっぱりバルセロナの選手は、相手のシステムやポジショニング、戦い方などを試合のなかで見極めるのがすごく早い。その象徴的選手が、セルヒオ・ブスケッツやイヴァン・ラキティッチだと思います。

 まずは相手の配置と出方を見たうえで、この試合ではどの辺にスペースが空きそうか、どの位置でビルドアップの起点を作れるか、そういった肝の部分を2人が素早く見極めていることが、今回の第1戦、第2戦を現地で明確に見て取ることができました。

 たとえば、ユナイテッドはポール・ポグバが自分のタイミングで前に出て行くので、彼の背後にスペースが生まれる傾向がありましたが、2戦共にバルサの選手はそれを見つけると、すぐにポグバの背後を狙い始めていました。

倉敷 第1戦では見えにくかったディテールの差も第2戦でははっきりと露呈しました。バルサ圧勝のゲームを小澤さんはどう見ましたか? ユナイテッドは、GKのダヴィド・デ・ヘアが信じられないような凡ミスをしたり、第1戦とはまったく別の顔を見せてしまいましたね。

小澤 オーレ・グンナー・スールシャール監督がルカクをスタメンから外したことが、いちばんの敗因だと思いました。なぜマルシャルを起用したのかが謎ですし、前線に置いたラッシュフォード、ジェシー・リンガード、アントニー・マルシャルのポジショニングやプレッシング時の約束事に規則性がありませんでした。つまりは、そこまで詰めていなかったのだと理解しています。

中山 第1戦で一応の成功を見せた5バックではなく、第2戦では4-3-3に戻してしまったのも理解に苦しむところです。たとえ勝つしかないという状況だとしても、第1戦で大差をつけられていたわけではないですからね。だからスタートは5バックで試合を落ち着かせて、途中から攻撃的にシフトしていくと予想していましたが、蓋を開けてみるとスールシャールは開始から勝負をかけて、結果的に前半で勝負をつけられた格好です。

 それと、3-0とリードされた後の65分にマルシャルに代えてディオゴ・ダロトを入れて3-5-2に変更したと思ったら、80分にはアレクシス・サンチェスを投入して4-4-2に変更して、それぞれの狙いもよくわからない戦術変更を繰り返していた印象でした。この試合のユナイテッド・ベンチは、相当に混乱していたのではないでしょうか。

倉敷 この試合のスールシャールは変でしたね。ルカク、アンドレアス・ペレイラ、それとネマニャ・マティッチを使ったほうがバルサは嫌だったと思いますけど。

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