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ケガ人続出で竜頭蛇尾。絶対王者・パリがハマった「落とし穴」 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 5年に渡ってほぼ同じ戦術をベースにチーム作りが行なわれ、頭も体もそのルーティンにどっぷりと浸かっていたパリの選手にとって、新体制になった今季、毎試合フレッシュさを求められるトゥヘルのサッカーは確かに刺激的ではあった。選手もその新鮮さに引き込まれ、それによって近年稀に見るハイパフォーマンスを披露することもできた。

 しかし、その反動はシーズン後半戦になって雪崩のように襲ってきた。この事態にクラブは新しいドクターと契約して問題の解決を図ってはいるが、事はそれほど単純ではなさそうだ。少なくとも来シーズンは、CLでも最後に笑うための長いシーズンの戦い方を新たにプラニングする必要はあるだろう。

 CL敗退の直接的戦犯ではないものの、それがトゥヘル監督に与えられた来シーズンに向けた課題であることは間違いない。

 そんななか、ただひとり例外だったのが20歳のキリアン・ムバッペだった。モナコでブレイクしてからまだ3シーズン目でしかない彼が、次々と最年少記録を塗り替え、5試合を残してリーグ戦30ゴールをマークしている事実は、今シーズンのパリにとって最大のトピックと言える。

 今では、その市場価値はネイマール以上。ハットトリックを決めたモナコ戦後に、来シーズンもパリでプレーすることを公言したことが、おそらく微妙な美酒を味わうことになったパリサポーターにとって、今シーズン最高のご褒美になったはずだ。

 まだ限界を知らない20歳の「怪物」と、ネイマールと、カバーニ。フルシーズン稼働すれば、来シーズンのMCNはさらなる進化を遂げ、より多くのゴールを量産するだろう。それだけに、指揮官がかねてより熱望している守備的ミッドフィルダー、センターバック、ゴールキーパーのビッグネームの補強が、今夏の注目の的となりそうだ。

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