伊東純也がゲンク移籍で驚いたこと。「練習は長く1回1回がきつい」 (2ページ目)

  • 菊池康平●文・写真 text&photo by Kikuchi kohei

「グラウンドは、ぐにゃぐにゃでゆるいので、日本では滅多に履かなかった(スタッドを)取り替え式のスパイクを履いています。日本ではほとんど固定式のスパイクでやっていたので、これも慣れていかないといけません」

 練習に合流した当初は、監督やコーチが説明していることもあまりわからなかった。幸いにもそれほど特別な練習はなかったので、見よう見まねで理解していった。

 ゲンクのフィリップ・クレマン監督は、ベフェレンの監督をしていた際に森岡亮太(現シャルルロワ)を指揮している。日本人選手のパーソナリティやプレーの特徴も把握しているはずだ。

 もともと海外志向があったのだろうか。

「もともとはなかったです。1年目はヴァンフォーレ甲府で、2年目に柏レイソルへ移籍しましたが、レイソルでの2年目くらいから海外からオファーが来たり、代表に選ばれたりしたことがきっかけで、海外を意識するようになりました」

 特定の国に行きたいというこだわりも特になかった。漠然と海外リーグを意識はしてきたが、特別な準備はしていなかった。ゲンクへの移籍もギリギリのタイミングで決まったので、ベルギーリーグのことはほとんど何も知らなかった。

「今日は練習後に英会話のレッスンを2時間くらい受けていました。チームが用意してくれた先生に教えてもらっているんです」

 いま一番困っているのは言葉だという。それを克服すべく練習と英語の勉強の毎日だ。コミュニケーションがとれなければ、ほしいタイミングでパスも来ない。

 日本ではチームメイトや友だちといる時間が多かったが、ゲンクではひとりで過ごすことが多い。寂しさを感じることもある。

「取材などでたまに日本人が来てくれることはあります。あとは友だちがたまに来るくらいです。寂しくないわけではないですが、まあ大丈夫かな。ベルギーには日本人選手が多いしドイツも近いですし」

 先日にはシント・トロイデンの遠藤航と一緒にブリュッセルに行った模様が、双方のSNSにあがっていた。

 あらかじめ話を聞く前に本人のことを調べていくが、色々なメディアで「ゲンク指揮官、新加入の伊東純也は平均よりわずかに下と評価」と書かれていた。どういうことなのか気になり単刀直入に聞いてみた。

「フィジカルテストをいきなり最初にやって、動いていなかったのでチームの平均の数値より少し下だったんです」

 アジアカップが終わってから、少し休んでいた後でのフィジカルテストだったので、きつかったのだ。そのアジアカップでは、試合終盤からの途中出場が多かった。

「出場時間が短かったので、もっと出たいなという気持ちは強かったです。そして、短い時間ながら結果を出したかったです」

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