乾貴士、チームは完敗も応援に感激。サポーターへの「好き」が深まる (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 後半59分、アラベスの反撃の切り札の一番手として、乾が大きな拍手のなか、ピッチに立ったが、直後にアルバロ・モラタに試合を決定づける3点目を決められてしまう。さらに84分には、トーマスのペナルティエリア外からポストに当てながらのゴールでダメを押された。乾も見せ場をつくることはできなかった。

 この日、アラベスとともに欧州戦出場権を争っているヘタフェが、レガネスとのマドリード南部ダービーに0-2と敗戦していたことから、上位との勝ち点差を縮める絶好のチャンスだったが、ものにすることはできなかった。

 この試合で珍しい光景が見られた。完膚なきまでにアトレティコ・マドリードに叩きのめされたアラベスだったが、そんな選手たちの傷心を癒すかのように、サポーターが最後の笛が鳴るまで、文字通りチームを支えるエールを歌い続けていたのだ。

 リバプールファンの『You will never walk alone』の合唱に代表されるように、イングランドのクラブなどでは、最後までチームとサポーターが一緒に戦い続けることで知られている。しかしスペインでは、勝った時こそ応援の勢いは増すものの、負けた時には即時、家路に着くことが一般的だ。

「あれは本当に感謝するしかないです。俺はすごく嬉しかったし、大好きになりました」

 乾は試合後のミックスゾーンで、チームを応援し続けるサポーターへの感謝の言葉とともに、アラベスというクラブのことをより好きになったと語ってくれた。残りの対戦カードは、次節のセビージャを始め、バルセロナやアスレティック・ビルバオなど厳しい相手との対戦が続く。

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