武藤嘉紀が2カ月半ぶりの出場で
猛アピール。残された時間は多くない (3ページ目)
武藤が苦戦している理由のひとつに、自分の特長をもっとも生かせるポジションがなかったことがある。
シーズン前半戦は「2トップの一角」としてプレーすることが多かったが、ラファエル・ベニテス監督は守備に重きを置いた3-4-2-1の1トップにシステムを変更。最前線の1トップには長身FWのロンドンが絶対的存在として君臨し、武藤のポジションはなくなった。しかも、「2」の攻撃的MFでも、ベニテス監督は武藤の起用に積極的ではなかったのだ。
しかし、武藤はこの「2」の位置で、練習からアピールができているという。
「練習でもやっています。(これまで)2トップを採用することがなかったから、メンバー外になっていた。アジアカップが終わったあと、いきなりチャンスがなくなった。『そこ(=2の位置)ではやれない』と監督にずっと思われていたけど、今日の試合でできることをアピールできたと思う。
出場時間が延びれば、チャンスも増えてくる。とにかく、結果を出さないことには序列は変わらない。そこは集中していかないといけない」
試合後、ベニテス監督は日本代表FWについて、「チームメイトへの理解も深まり、英語の勉強も続けている。コミュニケーションはずっとよくなったし、試合や練習におけるワークレートもダイナミックな動きも増えている」と評価しながらも、「武藤はそれを続けなければいけない。新加入のアルミロンも、よくやっている。武藤も今の調子でやり続け、競っていかなければならない」と注文をつけた。
日本代表の3月シリーズでは招集されなかったが、イングランドに残って練習と調整に集中できるのは、チーム内のポジション争いで有利に働くだろう。ここで風向きを変えられるか。
ただ、今シーズンは残り7試合。武藤に残された時間は、あまり多くないのも事実だ。
「とにかく最後、なんとかして、あと2、3点獲れたらうれしいなと思います」
自分自身に言い聞かせるように、武藤はそう力を込めた。
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