武藤嘉紀が3連続ベンチ外でピンチ。3つの理由でポジションがない

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 ニューカッスル・ユナイテッドのFW武藤嘉紀が苦境に立たされている。

 2月26日に行なわれたプレミアリーグ第28節バーンリー戦で、日本代表FWはメンバー外となった。アジアカップからチームに復帰後、これで3試合連続のベンチ外。シーズン前半戦はコンスタントに出番を掴み、出場時間もゆっくりと延ばしていた武藤だが、ここにきて大きな壁にぶちあたってしまった。

18人のメンバー枠からも外れてしまった武藤嘉紀18人のメンバー枠からも外れてしまった武藤嘉紀 では、なぜ状況が一変したのか──。簡単に経緯を振り返ってみたい。

 武藤は1月2日に行なわれたマンチェスター・ユナイテッド戦で81分から途中出場し、6分間のアディショナルタイムと合わせ15分間プレーした。ポジションは2トップの一角。このマンチェスター・U戦を最後に、アジアカップの開催地であるUAEへ飛び立った。それ以降、アジアカップ期間中のリーグ戦4試合を欠場した。

 そして、アジアカップ決勝で日本代表が敗れると、武藤もニューカッスルに復帰した。しかし復帰後、18名の登録メンバーに入ることすらできなくなった。気がつけば、武藤は約2カ月にわたりニューカッスルでプレーしていないことになる。

 そんな武藤の苦戦の理由は、3つあるように思う。

 ひとつは、ラファエル・ベニテス監督が戦い方を1トップシステムに固定したこと。スペイン人指揮官は武藤を「2トップ一角のセカンドストライカー」として捉えており、1トップを採用すると構想から外れてしまうのだ。

 この1トップシステムで戦術上のキーマンになっているのが、ベネズエラ代表FWのサロモン・ロンドン。189cmの長身で接触プレーにもめっぽう強いロンドンは、前線のターゲットマンとして機能しており、チームの絶対的な存在になっている。

 もっとも、ロンドンの存在価値は、ニューカッスルの戦い方と密接に関係している。

 ベニテス監督の狙いは「堅守速攻」。基本フォーメーションを「3-4-2-1」とし、守備時には5バックに変形して守備を固め、攻撃はクロスボールとロングボールの大味なアタックでゴールを狙うのだ。あくまでもニューカッスルの目標は「プレミア残留」であり、守備に重きを置いた手堅い戦い方で、着実に勝ち点を積み上げていきたいのだろう。

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