移籍して大正解。森岡亮太は別人のようにイキイキしている (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 森岡はすぐに、シャルルロワにフィットした。入団してわずか2日後のムスクロン戦では、66分に見事なボールキープからフェザータッチのスルーパスを通し、決定機を作った。森岡は即興で呼吸の合ったプレーをしたのだ。チームが0-3で負けても、森岡の評価は高かった。

 続くオーステンデ戦で先発すると、トップ下の森岡にはボールが集まり、攻撃を牽引した。この試合のシャルルロワは決定力を欠いて1ゴールに終わったものの、計18本もの枠内シュートを放った。

 ワースラント・ベフェレンでの半年間の活躍が認められ、森岡がアンデルレヒトにステップアップしたのはわずか1年前のこと。最初の半年はレギュラーとして、ゴールやアシストを次々と記録する。

 しかし、7月下旬にアンデルレヒトのホームスタジアムを訪れてみると、主力選手がポーズを取った巨大ポスターのなかに、森岡の姿はなかった。私は「アンデルレヒトは獲得して半年しか経たない背番号10を干すつもりなのか......」と唖然とした。

「オフにコンディションを上げてこなかった森岡を、ハイン・ファンハーゼブルック監督は構想外にした。クラブは移籍を認めているが、ベフェレンから獲得した際に生じた300万ユーロ(約3億7000万円)もの移籍金の回収にもこだわっている」

 ベルギーメディアはこう報じた。

 しかし今季、アンデルレヒトは深刻な不振にあえいでいる。昨年の秋口には、ファンハーゼブルック監督が「うちのチームはクリエイティビティを欠いている。森岡が必要」と言い出した。この頃になると、森岡がメンバーから外れても、「亮太は練習中のひざのケガで、今日はブリュッセルに残ったんだ」と、監督が私に教えてくれることもあった。

 こうして11月末、森岡はヨーロッパリーグの試合からレギュラーに復活する。だが、ファンハーゼブルック監督が低迷を理由に更迭され、年明けから指揮を採るルッテン監督の最初のテストに森岡は合格しなかった。チームはすでに新たなMFペーター・ジュリを獲得しており、森岡はアンデルレヒトを去ることになった。

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