2019.02.05

スペインのレジェンド、イエロが指摘する
「日本と強豪国の差」

  • 栗田シメイ●文・撮影 text&photo by Kurita Shimei

フェルナンド・イエロ インタビュー前編

 優勝候補の一角と見られながら、ベスト16で敗退――。昨年のロシアW杯は、スペイン代表にとって不本意な結果に終わった。

 スペイン代表は、W杯開幕直前にレアル・マドリードの監督就任を決めていた指揮官のフレン・ロペテギが急遽解任された。後任に指名されたのは、スポーツディレクター(SD)としてチームに帯同していたフェルナンド・イエロ。レアル・マドリードだけでなく、スペイン代表でも長らくキャプテンとして活躍した”レジェンド”は短期間でチームをまとめ、苦戦しながらもグループリーグ突破に導いた。だが、決勝トーナメント1回戦で開催国のロシア代表にPK戦の末に敗れた。

 今回、日本の子どもたちの指導のため、レジェンドクリニック(※)の一員として1月上旬に来日したイエロの独占取材に成功。スペインのベスト16敗退の舞台裏や、”ティキ・タカ(正確でエレガントなパスを回すスタイル)”から脱却しつつあるスペインサッカーの現状、不調にあえぐ古巣レアル・マドリードの問題点などを語ってもらった。

(※)レアル・マドリードで活躍したミチェル・サルガドをはじめ、世界中のレジェンドを日本に招き、世界を舞台に活躍した彼らの経験を日本の子どもたちに伝えるサッカークリニック

サッカークリニックで来日したイエロ――まず、昨年のロシアW杯を振り返っていかがですか?

「全体的には、アジアのレベルが急激に上がったということが強く印象に残っている。それはアフリカも同様だね。昔のW杯であれば、ある程度勝ち点が計算できる相手が存在したが、昨年の大会はこれまでになく各国の力が拮抗していたと言えるだろう。

 私たちがグループリーグで対戦したイランも、1-0で勝ちはしたが非常に難しい相手だった。フィジカル面でも戦術面でも、高いレベルだったよ。モロッコにしてもしかりだ。大会を通して難しい試合の連続で、私の予想を超えていた部分があった」

――グループリーグ第3戦のモロッコ戦(2-2)では先制点を許し、アディショナルタイムに追いつくという展開でしたね。

「ゲームプランでいえば『リスクを避ける』『デイフェンシブな戦い』という意識が少し強く働いたのかもしれない。だが、先制点を与えたことで変更を余儀なくされた。結果論だが、モロッコとの激戦での消耗が、少なからず決勝トーナメントにも影響したかもしれない」

――決勝トーナメント1回戦のロシア戦では、ボール支配率74%、シュート数25と圧倒しながらPK戦で敗退となりました。

「ロシアはよく組織されたチームで、圧倒的な運動量があった。どんなに特別な選手を揃えていても、11人が自陣に引いて守る相手を崩すのは簡単ではない。チャンスの数で勝敗が決まるわけではないし、実際に私たちは多くの決定機を決めきれなかった。フィニッシュの質が最後まで上がってこなかったのが悔やまれるよ」