トルコで香川真司を待ち受ける困難。それでも新たな環境で復活を期す (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by AFLO

 香川がマンチェスター・ユナイテッドからドルトムントに戻った2014年以降、チームは新監督と若い選手でシーズンに入り、最初は期待されるものの、やがて失速するというパターンを繰り返してきた。そういう経験をしている香川は、今季も焦らずじっくり構えていた。

 だが、今季のドルトムントは失速することはなく、勝ち続けるうちに、勢いだけではない真の実力と自信をつけていった。バイエルンの不調はあるにせよ、ブンデスリーガで首位を独走し、チャンピオンズリーグ(CL)は決勝トーナメントに進出。ドイツ杯もベスト16に残っている。

 結局、香川のリーグ戦出場は2試合で、先発は第4節ホッフェンハイム戦のみ。7-0と大勝した第5節ニュルンベルク戦は62分からの出場だったが、周囲が貪欲にゴールを狙うなかで、どこか噛み合っていなかった。

 ドイツ杯のウニオン・ベルリン戦では先発して78分まで出場、1アシストを決めているが、試合終了直前に追いつかれたことで延長戦に突入。120分ギリギリでの勝利でアシストは霞んだ。CLへの出場も初戦のブルージュ戦だけで、消化試合でも起用されることはなかった。

 ドルトムントの選手のなかで、年齢だけでなく、クラブ在籍期間の点からもベテランの域に入っていた香川。ファブレ新監督については「リスペクトしてくれてはいる」と表現していた。それは、試合に起用されなくても、むげに扱われているわけではないという意味だったのだろう。それでも、チーム内での立場は難しいものがあるのだろうと容易に想像できた。

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