伝説の戦いをもう一度。バスクの雄・アラベスが乾貴士に期待すること (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Sano Miki

 乾はボルハとはエイバル時代にもプレーをしているし、その時とやることは何も変わらない。イバイは右サイドの選手だけど、そのあたりのことは、アベラルド・フェルナンデス・アントゥーニャ監督がうまくやってくれるはずだ」

 彼はそう言って、昨シーズン、降格圏内から浮上できずにいたチームを残留に導いたアストゥーリアス出身の監督の手腕に期待した。

 1シーズン中に監督が4人も代われば、そのクラブは降格するのが常だが、アベラルドはそんなチームのメンタルを変えて、負け犬のようなチームを戦うチームに変貌させた。今シーズンも4-4-2のシステムをベースに、ヨーロッパリーグ(EL)圏内をうかがう順位(現在5位)で戦いを続けている。

 アラベスはバスク地方の州都のクラブであるが、アスレティック・ビルバオやレアル・ソシエダのように、スペインサッカーの表舞台を歩んできたクラブではない。セグンダ(2部)で過ごした時代が長く、どちらかといえばエイバルと同じような歩みを進めてきたクラブだろう。

 そんなアラベスが2000-01シーズン、サッカーファンの記憶に残る試合をした。

 UEFA杯(ELの前身にあたる大会)の決勝に進出し、延長線の末、マイケル・オーウェンやスティーブン・ジェラードを擁するリバプールの前に4-5で敗れた一戦だ。1-3とリードされながら同点に追いつき、延長戦で退場者を2人も出した末にオウンゴールで幕を閉じたしたその死闘は、今でもアラベスサポーターはもちろん、UEFA杯決勝のベストバウトのひとつとして、多くのサッカーファンの間で語り継がれている。

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