ベスト11に選ばれた長谷部誠。代表引退もモチベーションは変わらず (2ページ目)
今季の開幕前後は、モチベーション的に問題があったのだとも明かしている。ロシアW杯が終わり、少し気が抜けたところがあったということだろう。だが、メンバーから外されたことで闘志に火がついたという。指揮官にそんな意図があったのかどうかはさだかでないが、メンバーから外されたがことが、結果的には功を奏した。
長谷部だけでなく、W杯の後遺症は多くの代表選手にあるものなのではないかと思う。精神的に負荷がかかり、集中力を要する大会が終わって、少しフワッとしてしまったとしても、責めることはできないだろう。ただ、多くの選手がそんな気持ちをひきずったまま前半戦を折り返したのに対して、長谷部はわずか3試合でポジションを取り返した。
代表を引退したことで、フランクフルトでも、もう少しのんびりとプレーするのかと想像していた。実際、代表の主将を退いた長谷部の話ぶりからは、以前のようなピリピリしたものが消えたと、ドイツで取材する報道関係者の多くが感じている。代表戦期間中の休みが増えて、家族との時間が持てることを素直に喜ぶなど、現役選手とは思えない余裕すら感じられた。
だが、リーグ戦に対するモチベーションには変わりがなかった。
プレースタイルに関していえば、従来のボランチだけでなく、ニコ・コヴァチ前監督が率いていた2シーズンで、リベロのポジションを自分のものにしたことが大きい。ふたつのポジションを、レベル的に遜色なくこなせるということは、チームと監督に戦術の選択肢を与えることになる。相手の出方を見てから自分たちの戦い方を変えることが、ピッチ内の選手を動かすだけでできてしまうのだ。
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