ルーニー、代表最後の晴れ舞台。
2年ぶりでもセンスは錆びていなかった (3ページ目)
振り返れば、ルーニーは2003年に17歳で代表デビューを果たし、17歳と317日で同代表の得点最年少記録を更新した。以降、引退発表まで約14年にわたり、イングランド代表を牽引してきた。
スティーブン・ジェラードやポール・スコールズ、リオ・ファーディナンドらを擁した「黄金世代」のひとりとしてチームの中核を担ったが、国際主要タイトルには手が届かなかった。しかし、ルーニー個人としてはイングランド歴代最多の53ゴールをマーク。ボビー・チャールトン(49ゴール)やガリー・リネカー(48ゴール)といった歴代先人たちの記録を上回り、イングランド代表史にその名を刻んだ。
一方で、物議を醸す行動も少なくなかった。2006年のW杯ドイツ大会のポルトガル戦で退場処分を受け、チームもPK戦の末に敗戦。英国内で猛バッシングを浴びた。2010年のW杯南アフリカ大会でも、上位進出が期待されながらグループリーグで2試合連続のスコアレスドロー。サポーターの不満が爆発すると、ルーニーはテレビカメラに向かい、「自軍のファンがブーイングを浴びせるとは最高だな」と叫び、大いに批判された。
代表で味わった栄光と挫折――。引退試合に先立ち、ルーニーが「いい試合もあれば、悪い試合もあった」と、代表キャリアを振り返っていたのが印象的だった。
ただ、今回の最終試合で、ルーニーの顔には常に笑みがこぼれていた。これまでの代表キャリアについて、本人は「今、振り返ってみると、プレッシャーは相当に大きかった。それはファンやメディアからの重圧ではなく、自分自身に課したプレッシャーだった。過剰なプレッシャーが、プレーに影響を及ぼすこともあった」と明かす。
たしかに、どこか窮屈そうにプレーしていた時代もあった。しかし、一夜限りで実現した代表戦では、前日会見もウォームアップ中も笑顔。無得点ながら、試合後も笑みを浮かべていた。
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