ストイコビッチからジャカとシャキリまで。コソボ紛争をサッカーから理解する (6ページ目)

  • 木村元彦●文 text by Kimura Yukihiko
  • photo by Jiji Photo

『悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記』が新版で出るにあたり、セルビアとコソボのサッカーの関係を通じてなぜジャカとシャキリがあのような行動に出たのかを感じてもらえれば幸甚である。

 そしてあらためて思う。フリーランスを攻撃する「自己責任論」がまたぞろ出て来たが、冗談ではない。現場に行かなければ私自身も悪玉論に傾倒していたままであったろう。コソボの北ミトロビッツァはいまだに外務省の渡航中止勧告『レベル2』が出ている。しかし、こと旧ユーゴスラビアに関して言えば、日本人はあらゆる民族から信頼を受けている。現場に置いて、CNNやロイターはセルビア人が拒絶し、ロシアや中国の通信社はクロアチア人やアルバニア人が信頼しない。両者に話が訊ける日本人にしかできないことがある。換言すればそれは日本人がやらなくてはいけないことだ。大手メディアが社内コンプライアンスに縛られて現場を踏めなくなった以上、フリーがその任に就くしかない。私はドブロシンというテロリストを養成する村に入ったことがばれて逮捕、拘束、強制退去という処遇にあったが、それでも現場に行かせ続けてくれた『ヤングジャンプ』に改めて感謝したい。"ジャンプ繋がり"だが、安田純平さんの言うとおり、「あきらめたら試合終了」なのだ。

NATOの空爆にさらされた
「悪者」ユーゴの真の姿。
ストイコビッチからモドリッチまで
彼らのサッカーにユーゴ情勢が透けて見える。

『新版 悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記』

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