クラシコでメッシもロナウドもいない影響はどこに出ていたのか? (2ページ目)

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中山 それと、このゴールシーンでもうひとつ気になったのは、マドリーの選手の反応の鈍さでした。ジョルディ・アルバからのマイナスクロスに対して、ゴール前にはヴァランとセルヒオ・ラモスが急いで戻っていましたが、カゼミーロ、マルセロ、そしてトニ・クロースはまったくスプリントしていなくて、ジョギング程度の走りでゆっくり戻っているんです。対するバルサは、ルイス・スアレスがニアにダッシュして、その背後にはコウチーニョとラフィーニャの2人もダッシュでゴール前に入ってきています。要するに、その走るスピードの違いによって2人がボックス内で完全にフリーになれたわけです。

 そのシーンを見たとき、明らかにマドリーの集中力が欠けていると感じましたし、ロペテギもこの試合に対して選手をマネジメントできていないと思いました。解任濃厚という立場では難しかったのかもしれませんが、試合前に選手にしっかり鞭を入れるべきですし、とくに試合開始早々からマドリーは押されていたので、叱咤するなどしてもっと選手を動かさないといけなかったのではないかと感じました。

倉敷 バルサ側から見れば、メッシ不在でも同じ攻撃のオプションをそのまま使えることがよくわかったシーンでした。

 続いて前半30分、スアレスがPKを決め、バルサが2-0とリードを広げるシーンです。クラシコ史上初めてVARが発動されました。このペナルティキックの場面はヴァランのスアレスに対するファウルに対し、審判を務めたホセ・マリア・サンチェス・マルティネスは当初ノーホイッスルでした。しかしVARから連絡を受け、スペインでは珍しくモニターチェックまで行なって最終ジャッジを下しました。

中山 驚きましたね。ラ・リーガではこれまでほとんどVAR判定の際に主審がモニターチェックすることはなかったんですが、やはり世界が注目しているビッグマッチだと真面目に時間を割いてモニターのところまで走って確認するんですね(笑)。

倉敷 普段も真面目なのでしょうが(笑)。

中山 おそらく主審もその作業を省いてしまっているんでしょうね。そんなイメージで見ていたので、今回はファウルの判定云々の以前に主審がモニターチェックに行ったことに注目してしまいました(笑)。

倉敷 この主審は3度目のクラシコ担当でしたが、過去のクラシコでカルバハルを退場させたこともあってより慎重に、と考えたのかもしれません。

 小澤さん、これはチャントという文化の話ですが「こういう風にしてあいつらは勝つんだ」というようなビッグクラブに対するやっかみチャントが世界各地にあります。スペインにも「こうやっていつもマドリーは勝つ」というチャントがありますが、VARの導入によって今後はなくなってしまうかも知れませんね。

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