2018.08.29

未来が明るいフランス代表。W杯王者の強さを徹底分析した

  • photo by JMPA

倉敷 フランスは14人がワールドカップ初出場のメンバーでしたが、デシャン監督は「最強の23人ではなく、最良の23人」という表現を使っていましたね。まず選手のピックアップが見事でしたね。

中山 当たりましたね。たとえばこのチームの本来中心であり、精神的支柱でもあったローラン・コシェルニーが大会直前にケガをして出場できなくなった時、センターバックには他にもいろいろな駒がいましたが、ベテランのアディル・ラミという選手を呼びました。ラミは今回のW杯でフィールドプレーヤーの中で唯一試合に出場していない選手だったのですが、デシャンがラミに与えた役割は、彼自身も理解していたと思うんですけど、チームをいかにまとめるかという裏方に徹する役割でした。

 彼はもともとリールの黄金時代のキャプテンを務めていた選手で、そういう能力があることをデシャンは知っていて、あえてラミをメンバーに加えたことも、「最良」のうちのひとつだと思います。

倉敷 なるほど。小澤さん、スペインでは代表監督は「セレクショナルドール」と呼ばれ、「選ぶ人」という部分が強調されますが、選手選考に関して、僕らの国がこれから学ぶべき点としてはどんな点が指摘できるでしょうか?

小澤 まず、デシャン監督のチームづくりを見ていますと、エゴを出すような選手は呼ばないということを徹底していた印象があります。とにかくチームのために働いてくれる、ハードワークができる選手が必要だというところを明確にメッセージとして出したうえで、選考をしていました。だからこそ、カリム・ベンゼマ、アドリアン・ラビオがメンバーから落とされています。

 その辺は一貫したコンセプトの下、とくにワールドカップという短期間でチームが生き物のように変化していくような大会においては、チームの結束が何より重要ですから、その辺は我々もしくは全世界がデシャン監督のチーム作りから学ばなければいけないのではないかと思っています。

倉敷 次はフランスの戦術について話そうと思います。まず、ジルーの使い方です。ゴールこそ挙げませんでしたが、攻め込まれた時に彼をターゲットにしてラインを上げたり、そこからのカウンターであったり、それから自分たちがボールホルダーの時の攻め方において、デシャン監督はいくつかの選択肢をチームに与えていましたね。

小澤 3トップで戦ったオーストラリア戦でいうと、とくにディフェンスラインが低い設定の時からのロングボールの収まりどころがありませんでした。そこを次戦からジルーが入ったことによって、うまく相手のディフェンスラインを引っ張ったり、競り合ったボールをライン間で待っているグリーズマンに落とせるというところで、攻撃のオプションのひとつになっていました。

 それと、右のキリアン・ムバッペをカウンターで有効に使おうという狙いのなかで、ジルーもグリーズマンとムバッペを意識しながら、彼らへのスペースメイクを常に意識してプレーしていました。デシャン監督が「シュートは打たなくても、彼は貢献してくれる」というコメントを出していることからもわかるように、できるだけ右サイドに素早くボールを運ぶことが徹底できていたので、ジルーがいなければ今大会の優勝はなかったのではないかというくらい、攻撃における貢献度は高かったと思います。