岡崎慎司は4年後のW杯を目指す。ライバル出現も「ゆっくりやる」 (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 そう思うようになった転機は、6月に行なわれたロシアW杯だったという。

 4年間の集大成になるはずのW杯で、ケガを抱えたままロシアの地を踏んだ岡崎は、100%の力を出し切れなかった。万全のコンディションで、W杯でプレーしたい──。そんな強い思いが、焦る気持ちを抑えて岡崎を突き動かしている。

「W杯に行って、こういうことを言うのは、もしかしたら行っていない人に申し訳ないかもしれないが、やっぱりW杯は苦しかった。自分自身が苦しかった。なぜかというと、4年間、W杯のためにやってきたのに、100%を出せないというのをわかったうえで行っていたので。

 それでも、必要としてくれた西野さんのため、そして日本代表のために『やれることがある』と思ったから、自分も行きたかった。でも、こういう思いは、もうしたくない。一度だけ万全の状態でサッカーがしたい。それが一番ですね」

 10番を背負うマディソンが躍動する姿に、岡崎は「焦りがないわけではない」と正直な心情を吐露する。それでも今は、4年後を見据えて「ゆっくりやる」と言い切る。

 気がつけば、岡崎も32歳。「永遠のサッカー小僧」と呼ばれているが、20代のころに比べると身体の無理が効かなくなってきた。身体のケアはこれまで以上に必要になるし、食事の摂り方にも注意するようになったという。

 しかし、年を重ねるごとに経験を積み重ね、心の充実度は増してきた。

「余裕があるように見えるけど?」

 そう質問が飛ぶと、岡崎は「年齢ですね」と笑い、顔をしわくちゃにした。

 焦らず、ゆっくりと──。岡崎にとって、プレミアリーグ挑戦の4季目はこうして幕を明けた。

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