武藤嘉紀「勝てばヒーローになれた」と悔やむ。次戦はもっと貪欲に (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 チームのPKキッカー? だいたい決まっているらしい。今日はPK獲得がいきなりすぎて、考えていなかった。そうしたら、ケネディがボールを持っていて、『ここから自分が蹴るというのは難しい』と思ってしまった。たしかに、もったいなかった」

 周りに気配りができ、チームメイトを思いやる気持ちがあるのは、試合終了後の武藤の行動にも表れていた。ピッチに崩れ落ちていた武藤だが、すぐに立ち上がってPKを失敗したケネディのもとに。22歳のブラジル人の頭をなでると、気落ちした様子ながらもチームメイトと試合後の抱擁を交わしていった。

 この試合を振り返ってみると、ニューカッスル、そして武藤にとっても、カーディフ戦は極めて難しい展開だった。

 武藤が投入されたのは、0-0で迎えた65分。試合前には地元紙『イブニング・クロニクル』が「昇格組カーディフは来季プレミア降格の最有力候補。この試合はマストウィンゲーム」と報じていたように、勝利がどうしてもほしい一戦だった。その大事な試合でFWの1番手として投入されたあたりに、ラファエル・ベニテス監督の武藤への期待が見てとれた。

 しかし、武藤の投入から約1分後に、ニューカッスルは大きな打撃を受けてしまう。

 武藤がポストプレーから味方につなげようとするも、パスが短くなってしまった。このボールを拾おうと、右サイドバックに入ったアイザック・ヘイデンが相手の後方部から激しくタックル。一発退場を命じられた。

 その場面について武藤は、「あそこは絶対にボールを収めて、簡単につながらなければいけない。しかし、不運にもレッドカードにつながってしまった。ああいうところは、途中から入ってきた身としては、しっかり収めて時間を作ってあげないと」と反省しきりだった。

 ニューカッスルは、この退場劇を機に4-4-1-1から3-5-1にシステムを変更する。投入時は4-4-1-1のトップ下に入った武藤も、3人で編成する中央MFの左サイドにまわった。

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