J指導者がスペインのW杯敗退で痛感した「監督に大金をかける必要性」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Sano Miki

 ところが、監督がイエロになると、起用したのは守備的なナチョだった。そうなると、ソシエダ的には関心の的はスペイン代表ではなくて、下部組織出身のアントワーヌ・グリーズマン(フランス代表)に変わっちゃいました(笑)。あとは悪口です。『代表なんてしょせんレアルの金で成り立っているんだろう』って(笑)」

――初戦はポルトガル相手に引き分け発進でした。

「ポルトガル戦はクリスティアーノ(・ロナウド)という特別な人間が単純にすごかったと思います。ただ、その3点目、あそこで簡単にファウルをしてリスタートを取られるということは、たぶんロペテギだったらないんですよ。前監督の影響がそんなに急に消えることはないと思いますけど、たとえば試合前のミーティングなどで選手にどういうふうに伝えるかは、やはりその人のオリジナリティが出るところです。(東京ヴェルディのミゲル・アンヘル・)ロティーナ監督なら、試合前に"どこそこではファウルするな"と言います。やらなきゃいけないことをどこまでミーティングで整理できるかは、監督の手腕です。

 たとえば、日本代表を見ても、西野(朗)さんがグループの結束を促すことができたのはすごいことだと思います。昔のヴェルディもそういうところがあった。ハーフタイム、松木(安太郎)さんはうろちょろするだけなんです。『お腹、痛いヤツはいないか?』なんて言っている。ラモスさんや(柱谷)哲さんがいろいろな話をしていて、笛が鳴ると、松木さんが『準備できたか』と言うんです。

 僕が監督のときのハーフタイムも、選手が帰ってきて、15分のうちこっちを向かせるのは5分だけ。そのうちの3分で、攻撃のこと、守備のこと、チームのことという3つのテーマでしゃべるんです。たぶん日本代表は今回、長谷部(誠)、乾(貴士)、(吉田)麻也あたりがいろいろと話していたのかなと想像しています」

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