激戦必至。W杯準決勝は好勝負になる要素だらけだ! (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 アルゼンチン戦がそうだったように、その速さに頼りすぎると、サッカーは雑になる。ペースを相手に奪われる。そのスピードは相手にとって十分脅威になるが、一方で、自軍にも悪い影響を及ぼす。周囲と折り合いがついていない。チームのなかでも暴れてしまっている感じだ。

 もうひとつ目につくのは、中盤のポール・ポグバのパフォーマンスがいまひとつということだ。この選手は、つい何年か前までは現在のムバッペ的な存在だった。フランスの中心選手というよりも、欧州を代表する選手として大きな期待を集めていた。だがいま、当時の魅力はどこへやら。名前の大きさでスタメンを維持しているものの、ごく平凡な選手になり下がっている。フランスに勢いを感じない理由である。

 とはいえ、あいかわらず優勝候補筆頭の座を維持している。

 チームには、速すぎるムバッペとは対照的な技巧派FWのアントワーヌ・グリーズマンがいる。90分間、力をコンスタントに発揮しにくいムバッペに対して、こちらは歯車が合っている。センターフォワードのオリビエ・ジルーも、やや"うどの大木タイプ"のきらいはあるが、効いている。

 中盤の底にはエンゴロ・カンテが控え、CBにはレアル・マドリードとバルサで守備の要として活躍しているラファエル・ヴァランとサミュエル・ウムティティが、デンと構える。不安視された両サイドバックも、若手のリュカ・エルナンデスとバンジャマン・パバールが台頭。及第点のプレーを披露する。メンバーは他のチームに比べるともっとも豪華だ。

 優勝候補に推さざるを得ないチームというべきだろう。問題はこの境遇をフランスがどう受け止めるか、だ。受けて立ってしまうと危ない。特にベルギー戦は。

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