堂安律がビビりながら監督に迫り、信頼を得たオランダ1年目を振り返る (5ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

―― 日本とオランダでプレーしてみて、一番の違いは何でしたか?

堂安 試合のテンポがまったく違いますね。日本では守備のときに少し休む時間があったり、攻撃時もゆっくり攻めることが意外と多いんですけど、オランダではずっと走っている感覚で、とにかく休む時間がほとんどないんです。もうひとつは、シュートです。僕は監督から「お前はいい左足を持っているから、もっとシュートを打て」と言い続けられてきました。

 自分では結構シュートを打っている感覚があったんですけど、この前、日本でガンバ対レッズの試合を見に行ったときに「シュートが少ない」と感じたので、僕もそうだったのかもしれないと思いましたね。だから来シーズンは、もっとシュートを貪欲に打ちたいです。ノルマは1試合5本。5本打てれば、たぶん1本は入ると思いますので。

―― 若手選手が多いオランダリーグですが、ロビン・ファン・ペルシー(フェイエノールト)やクラース・ヤン・フンテラール(アヤックス)といった大物フォワードもプレーしています。彼らと対戦したときは、どんな印象を受けましたか?

堂安 まず、オーラが違います。それとなぜか、彼らはいい匂いがするんですよ。試合中に「潰したる!」と思ってボールを奪いに寄せていくと、「ああ、いい匂いやなぁ~」って力が抜ける(笑)。ほんま、あれは何なんですかね?

―― そうなんですか(笑)。それも含めていろいろな経験をした1年でしたね。きっとフローニンゲンというクラブを選んだこともよかったのでしょう。

堂安 はい、大正解です。最初はいろいろな人に「どこのチーム?」とか「まだ早すぎる」とか言われて止められましたけど、本当に移籍してよかったと思っています。まあ、そう言われたときも格好つけて「絶対に成功しますから!」と言い返していましたけど(笑)。

       ◆       ◆       ◆

 周囲が予想した以上の結果を残した堂安は、16歳のときにフローニンゲンでプロデビューした元オランダ代表のアリエン・ロッベン(現バイエルン・ミュンヘン)が10代で記録したリーグ戦8ゴールを上回る9ゴールをマーク。ロッベンが2シーズンかけて作った10代でのクラブ歴代最多ゴール記録を、わずか1シーズンで塗り替えたことになる。

 クラブの歴史に名を刻んだ若者は、果たしてこの先どこまで上り詰めるのか? 話はオランダでの私生活、今後の目標、そして日本代表への想いへと移っていく――。

(後編に続く)


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