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優勝候補ブラジル、ドイツの落とし穴を、
W杯の達人3名に聞いてみた (6ページ目)

倉敷 イングランドは昨年行なわれたU-17とU-20の世界大会で2冠、アンダー世代は欧州選手権でも大躍進をみせました。素材は揃いつつある。だからこの大会を輝く未来への大きな架け橋にしたいでしょうね。

小澤 カテゴリーにかかわらず、これまでのイングランド代表は、インテンシティは高いけれども、戦術的には少し物足りない印象がありました。

 でも、近年はマンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督を筆頭にプレミアリーグに外国人監督が増えたことで、それが代表チームの戦術にも影響を与えていると思います。ギャレス・サウスゲイト監督の3バックもとても戦術的になっています。

倉敷 プレミアリーグはとても裕福だから超一流の選手が世界から集まる。イングランドの若手にはたいへんな刺激だし、技術を学ぶ機会が多い。さらに近年は世界のトレンドを作る優秀な監督たちも集結してしのぎを削るわけですから、戦術的な多様性も身につけなくてはピッチにすら立てない。中盤から後方の選手には大きな成長が期待できる環境です。

 一方、若手アタッカーにはなかなかチャンスが巡ってこない。順位表で下位に沈むクラブでさえ、それなりの資金は持っている。フロントや監督の考えるお金の使い道はまずアタッカー獲得です。ハリー・ケインはいるけれど、若いイングランド人アタッカーは育ちにくいジレンマがありますね。

中山 これはプレミアリーグの課題のひとつですね。育成年代が世界大会で結果を残し、優秀な若手も多い。でも、それがそのままプレミアリーグに反映されるのかといえば、そうではない。ホームグロウン制度の導入や他国リーグへのレンタルなど、いろいろ工夫をしていますが、それが花を咲かせるまでにはもう少し時間が必要かもしれません。

 ただ、小澤さんがおっしゃったように、サウスゲイト監督の3バックは、彼が現役の時の3バックとは明らかに違っていると思います。彼は自国開催だったユーロ96では3バックの一角として活躍しましたが、あの時のクラシックな3バックと違って、モダンになっている印象があります。そういう面では、タレントだけではなく、このチームの組織的な部分にも注目したいですね。

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