ハリルともニシノとも違う、ブラジル全国民が支持する「無敗監督」 (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 代表の練習は回を重ねるごとに平和と明るさを取り戻し、それと比例するように結果も出るようになった。W杯予選も好調で、チッチの自由なサッカーが有効であることを証明した。選手の「プレーしたい」「いいサッカーをしたい」という強い気持ちがブラジルに勝利をもたらした。

 やる気――それこそがチッチがブラジル代表にもたらした最強の武器だ。彼は選手ひとりひとりのなかから、最高のやる気を取り出すことに成功したのだ。

 ブラジル代表は10カ月もしないうちに、チッチが望むようなチーム、調和のとれたチームへと変わった。今のブラジルは、決して皆が考えるようなネイマールが王様で、彼を中心に作られたチームではない。ドゥンガは規律でチームを統制しようとしたが、チッチは信頼でチームを作り上げた。

 チッチはこの5月で57歳になったが、その頭の柔らかさも彼の武器だ。コウチーニョやネイマールといった今どきの若者へのアプローチの仕方もよく知っている。

 WhatsApp(欧米でLINEよりも普及しているアプリ)やTwitterで選手たちとつながっていて、何かあったらいつでも直に話ができるようにしている。また細かいプレーを説明したいときなどは、動画を撮影して選手に送る。レアル・マドリードでプレーするカゼミーロも、よくチッチから動画を受け取るそうだ。

「監督が僕たち選手に何を望んでいるか、この動画のおかげで本当によくわかる。代表チームはなかなか集まることができないけれど、こうしてみんなで動画や意見を共有すれば、いつも会っているのと同じだ。監督は本当に、俺たちに向いたやり方を知っているよね」

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