「キックの精度が我ながらエグい」代表・宇佐美貴史は1年前と別人に (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 また、トップ下に関してもボールを触れるポジションだからこそ、状況によっていろんな選択肢からプレーを使い分けられていたしね。その3つ(のポジション)のうち、どれかが抜きん出ていいとは思わないけど、今は、その3つでプレーできることが、自分のよさかなとも思う」

 そうした充実感を得ながら、ドイツでのシーズンを戦い終えた宇佐美に日本代表選出の知らせが飛び込んできたのは、5月18日のこと。西野朗新監督が選んだ日本代表27名の中に、彼の名前はあった。

「この1年、チームで結果を残すことに必死すぎて、日本代表のことを考える余裕すらなかったから。自分ではないもう一人の誰かが僕に声をかけるなら......言葉を選ばずに言うなら、『ディープインパクトばりのまくりやな!』って感じ。

 でも、そのくらい一時は遠くにあった日本代表だっただけに、今、素直に『ありのままの自分でいい』と思える状態でいけるのは......うん、悪くないね」

 一報を受け、そう話した宇佐美は、なおも日本代表への思いを言葉に変える。

「フォルトゥナでの戦いを通して思ったけど、結局、選手って目の前の1試合を全力で戦う先にしか、次はない。もちろん、これまでの経験上、日本代表となれば、国民の期待や注目度、責任の大きさが違うということは理解している。でも、そういう期待を意識して(プレーが)よくなるなら、全力で意識するけど、それがプレッシャーや自分のプレーの足かせになるなら、意識せずに戦うほうが、最終的には日本を代表して戦うことの責任を果たすことにつながるはず。

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