乾、柴崎、井手口。代表リーガ組3人のスペインでの明暗を分けたもの (3ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 柴崎の力を買っているAS紙のヘタフェ番記者ホセ・デ・ラ・ロサですら、「いいMFだとは思うが、リーガで中盤をするためには高いフィジカルレベルを要求される。中盤の選手として、ボルダラスの信頼を勝ち取っていない。柴崎よりフィジカルの強さで弱点をカバーしているマルケル・ベルガラを信頼している。少なくともリーガでは、中盤やサイドが彼に適したポジションではない」と言う。

 さらにラジオ局オンダ・マドリードのロドリゴ・デ・パブロ記者も「柴崎のセンスはすばらしい。だが、監督の信頼を勝ち取るためにはセンスプラスアルファを求められる。それを見せることができなかった」と語った。

 井手口については、選手が問題なくサッカーに取り組むための周囲のサポート不足と、残留争いの渦中にいたチームの苦しい状況、そして微妙な加入時期が大きく響いた。

 半年にも満たない在籍期間というのは、筆者自身の経験から言っても、言葉を覚えるのにも短すぎる。しかも井手口のポジションは、システムがめまぐるしく変わるレオネサのサッカーでは"ヘソ"の部分にあたる。戦術を理解するだけでなく、自分から要求して味方を動かさなければならない。

 デ・ラ・バレラ監督の起用法を見ると、固まったチームに新たな化学反応を起こさせるよりも、最初の数試合でうまくはまらなかった井手口を外して残留争いを戦っていくことを選択したものと受け取れる。昨年、柴崎が所属したテネリフェは、1部昇格を目指した戦いをしていたが、レオネサはよりシビアな残留争いに身を置いていた。ひとつのミスが命取りとなる守備的の選手であることが、井手口の出場機会を奪うことになった。

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