乾、柴崎、井手口。代表リーガ組3人のスペインでの明暗を分けたもの (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ただし、日本代表のメンバー27名に入ったように、柴崎、井手口にも力があることは間違いない。3選手のシーズンの明暗を分けた要因には、戦術やポジション、順位など、チームの状況が大きく関わっている。

 エイバルで3年目を迎えた乾は、課題であった守備面が大きく向上しただけでなく、チームのコンセプトをしっかりと把握。ホセ・ルイス・メンディリバル監督に「自分のサッカーをピッチの中で一番に体現している選手」と評価されるまでになった。

 左サイドを中心にエイバルの攻撃を牽引し、背番号8番にボールが回るたびにスタジアムは期待感に包まれた。課題として挙がるのはやはり得点力だが、アシストや、記録にこそ残らないものの乾を経由して生まれた得点もあり、数字以上にチームの勝利に貢献したシーズンだった。

 一方、柴崎の1年目に関して、ヘタフェのホセ・ボルダラス監督は「人としてはとても満足しているが、サッカーに関して言えば、もう少しやってほしかった」という評価だった。

 序盤こそ、ホルヘ・モリーナの近くで衛星のような動きをしながら攻撃を作っていた柴崎。だが、ケガから復帰後は、2トップを採用したチーム事情から、ボルダラス監督が柴崎に最も適したポジションと考えていたセカンドストライカー、トップ下での起用ができなくなった。そして1列下の中盤の選手としては、フィジカルの弱さからチームメートの後塵を拝すことになった。

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