酒井宏樹、日本人2人目の欧州タイトルを獲り逃がすも「不満はない」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

 試合前日、シメオネ監督は「CLとELの比較はできない。(ELよりCLのほうが重要ということはなく)ELを勝つことは我々にとって重要なステップになる」と語っていたが、選手たちがプレーで証明した高いモチベーションは、指揮官の言葉を裏づけていた。

 と同時に、アルゼンチン人指揮官のチームマネジメントのうまさがうかがえた、3度目のEL制覇だった。

 さて、タイトルの行方もさることながら、今季のEL決勝が例年以上に日本での注目を集めたのは、言うまでもなくマルセイユに日本人選手、すなわちDF酒井宏樹がいたからだ。

 酒井がヨーロッパタイトルを獲得できれば、2001-02年に小野伸二がフェイエノールトでUEFAカップ(ELの前身)を手にして以来、日本人プレーヤーとしては2人目の快挙となるはずだった。

 しかし、4月に右ヒザを痛め、5日前に行なわれたリーグ・アン第37節ギャンガン戦で戦列復帰したばかりの酒井はベンチスタート。もちろん、途中出場の可能性は残されていたが、酒井の出場機会が訪れるかどうかという点においても、この日の試合は最悪の展開だったと言わざるをえない。

 酒井に代わって右サイドバックで先発したDFブナ・サールは攻撃力が持ち味。マルセイユが先制し、逃げ切りを図るような展開になれば、酒井に途中出場のチャンスが巡ってきた可能性は十分にある。

 ところが、マルセイユは早い時間に先制を許し、しかもパイエの負傷で貴重な交代枠をひとつ使わざるをえなくなった。

 後半開始からずっとピッチ脇でウォーミングアップを続けた酒井だったが、その後も失点を重ねたマルセイユが、点を取り返すために攻撃的な選手を投入するのは当然のこと。最後(3人目)の交代選手としてFWコンスタンティノス・ミトログルが呼ばれたところで、酒井はアップを終えてベンチに戻ることとなった。

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