柴崎のヘタフェ。そのユースで
レギュラーを張る「謎の日本人」の正体 (4ページ目)
「なんていうか、オーラがあったんですよ。日本人でリーガのチームの10番をつけているわけでしょ。僕は普段、緊張しないタイプなんですが、この時は『一緒に写真を撮ってください』と言うだけで緊張しました(笑)。それで、柴崎さんみたいになりたいと思って、なんとかヘタフェのテストを受けられるように代理人に頼み込みました」
憧れの柴崎と同じリーガのピッチに立つことができるか
冒頭で述べたように1カ月半に及ぶテストをパスした柿沼は、今年1月に正式に契約を果たした。以降はチームの中心選手として、驚くべきスピードで成長を遂げている。
乾貴士がエイバル加入当初にリーガへの適応に苦しんだように、日本人とリーガの相性は必ずしもいいとは言えない。実際に、筆者がレアル・マドリードのクラブ関係者に話した際に、「日本人だと適応に4、5年はかかるだろう」と言われた。リーガ関係者の認識では、それほど高いハードルがある。だが、柿沼は自己流のスペインへの適応術に自信を覗かせる。
「日本とスペインの一番の違いはサポーターです。スペインのサポーターは本当にサッカーを観る目が肥えている。だから、サポーターが沸くプレーを観察したんです。もちろん魅せるプレーも大事ですが、一番は戦える選手に惹かれる。いわゆるデュエルですね。僕は背は大きくないんですが、それに気づいてから徹底的にパワートレーニングを課し、身体的にも戦える土台が整ってきました。
もうひとつ重要なのは、チームメイトに認めさせることです。言い換えれば、チームの誰にも負けない武器があること。僕の場合は、それがドリブルでした。ドリブルだけは誰にも負けないと自信を持っているので、仕掛けることで自分の存在価値を見出していきたいと思っています」
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