W杯より先に吉田麻也の重大任務。
サウサンプトンを降格から救え! (3ページ目)
この日のレスターは岡崎慎司が足首のケガでメンバー外になり、イングランド代表FWのジェイミー・バーディーと、ナイジェリア代表FWのケレチ・イヘアナチョの2トップで挑んだ。速さのあるバーディーに吉田は「怖いから先に動くしかない。いかにいいポジションをとって、いい動き出しをするか」と注意しながら、粘り強い守備を見せた。
実際、吉田はバーディーへの縦パスを前方に飛び出してインターセプトし、イヘアナチョのシュートも身体でブロック。76分にもDFラインの背後に抜けたロングボールを、バーディーと並走しながらスライディングでカットした。「(ケガから復帰し)やっと3試合くらい出られるようになって、コンディションだけじゃなく感覚も読みもよくなってきている」と、本人も手応えを掴んでいた。
しかし、リーグ戦で8試合勝利のないチームについては「今日は勝ち点3を取りたかったです。取りたかったし、取れる試合だったと思う」と反省を口にした。ただ、悲壮感はなかった。試合終了から約40分後に取材エリアに姿を見せると、クリーンシート(無失点)が自信を喪失しているチームの転機になると主張し、前向きに言葉をつないだ。
「ひとついいポイントはクリーンシートで抑えたこと。ここ何試合ずっとこなせなかったことなので。前回のチェルシー戦も失点して、そのあとに大崩れした。下位にいるチームのメンタリティは、なんとか変えていかなくてはいけない。踏ん張れるようにしなくてはいけないという意味では、今日のクリーンシートは大きい。一歩踏み出したという意味で、勝ち点1はゼロよりはマシです」
2010−2011シーズンから2季連続で残留争いに巻き込まれたオランダのVVVフェンロ時代、吉田はプレーオフの末になんとか残留を決めたという"修羅場"も経験している。その当時と比べれば、状況は明るいという。
「残留争い? できることなら、しないほうがいいですね。それはフェンロのときに重々感じていた。精神的にかなりくるものがあるので。ただ、フェンロのときの絶望感に比べれば、全然前向きですよ。ここ数試合は、本当にいい形がつくれている。勝利にちょっとずつ近づいている気がしています」
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