金満パリはなぜCLで勝てないか。会長の代わりに、あの3人が考える (2ページ目)

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中山 僕はパリのキーマンはアンカーのチアゴ・モッタになると予想していましたが、そこがあまり機能しませんでした。通常、良い試合をしている時のパリは、モッタがボールを持った時に両センターバック、両サイドバック、インテリオールのマルコ・ヴェラッティとアドリアン・ラビオの6人が、モッタを中心にして円を描くようなポジションをとってパスコースを作ります。

 そこからパリのビルドアップが始まるので、結果的に1試合で最も多くのパス本数を叩き出すのがモッタになるわけですが、この試合ではマルコ・ヴェラッティのパス本数が最多というデータが出ています。

 原因はいくつか考えられますが、まずモッタ本人がケガのためにしばらく実戦を離れていて、コンディションが万全ではなかった。ハイレベルなゲーム感覚についていけず、結局セーフティな横パスとバックパスに終始してしまった印象があります。

 もうひとつは、マドリーの2トップの一角に入ったカリム・ベンゼマがしっかり寄せて、モッタがボールを持った時のパスコースを限定していたことも影響していました。結局、ビルドアップの起点にズレが生じたことで、チーム全体のパス回しが滞ってしまいました。

倉敷 僕もパリ逆転の礎(いしずえ)はモッタだと思っていました。レキップ紙が翌日「マドリーとは恒星までの距離がある」という見出しを掲げましたが、距離を縮めるはずだったモッタのコンディションが万全でないにも関わらず、誰もそこをカバーしませんでした。そしてヴェラッティはイタリア人では史上最多、CL通算3度目のレッドカードで退場してしまった。

 中盤が機能せず、頼みのアタッカー陣も3人でのパス交換は6回だけ。シュートは3人で5本だけ、これじゃ勝てない。マドリーは、ルーカス・バスケスとアセンシオのサイドも印象的でしたが、強烈な潰しもできるカゼミーロ、マテオ・コヴァチッチというボランチ2枚を配置したセンターが強い印象を残しました。カゼミーロに至っては56本のパスを成功させ、その成功率はなんと98%。

 小澤さんは、総走行距離でも上回ったマドリーの戦いぶりをどう見ましたか?

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