2018.03.17

スーパースターを買い集めても、
PSGが欧州ですぐ負けてしまう理由

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】PSGはどこへ行く?(前編)

 パリ・サンジェルマン(PSG)には、春の訪れを告げる「儀式」がある。それはこのフットボールクラブにとって、シーズンで初めての意義ある試合から始まる。舞台は欧州チャンピオンズリーグの決勝トーナメント。相手はヨーロッパのビッグクラブだ。

 毎度の儀式として、PSGはこの試合に負ける。そして監督を解任し、フランスリーグでは優勝を果たし、夏の移籍市場でスーパースターを買い、翌シーズンのチャンピオンズリーグ制覇を夢見る。だが次の春には、また同じ儀式が繰り返される。

 先ごろもPSGは、この伝統を守った。チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦でレアル・マドリードと対戦し、2試合合計スコア2-5で無残な敗北を喫したのだ。一部のPSGファンは、レアルの選手が宿泊していたパリのホテル近くで真夜中に騒音を立てて睡眠を妨害しようとしたが、それも効果がなかった。もうじきPSGは、スペイン人のウナイ・エメリ監督を解任するだろう。

CLでレアル・マドリードに敗れ、悄然とするPSGの選手たちphoto by AP/AFLO

 しかし、そこから先は長年の伝統が破られるかもしれない。この夏、PSGはスーパースターを買うのではなく、売ることになる可能性がある。クラブが誇るスター選手のネイマールは、パリでプレーする最後の試合をすでに終えてしまったかもしれない。

 ヨーロッパのトップに立つというクラブの夢は、遠いものになりつつある。大金を投じながら失敗を繰り返すPSGは、今や世界のフットボールファンの笑いものにさえなっている。

 パリでは、こんな疑問の声が聞こえる。いったいPSGは、何のために、誰のためにあるのか? カタール人のオーナーたちは、クラブに希望と関心を失ってしまうのか? だとしたら、2011年にカタール人オーナーに買収されたことで凡庸なレベルから抜け出したこのクラブは、いったいどうなるのか?