森岡亮太、新天地のアンデルレヒトでも
1980年代の香り漂うプレー
わずか半シーズンの在籍ながら、森岡亮太はワースラント=ベフェレンで存分に力を出し切った。昨年6月、まったく無名の日本人MFとしてベルギーにやって来た森岡は、24試合で7ゴール・11アシストを記録。周囲の期待を大きく上回る活躍をみせ、チームも8位と大きく順位を上げた。
名門アンデルレヒトの10番を背負うことになった森岡亮太 また、森岡はベフェレンのストライカーをも輝かせた。最初の相棒となったFWジーニョ・ガノは開幕3試合で4ゴールを量産、それが評価されて好条件でオーステンデへの移籍を果たした。
次に森岡の相棒となったのは、FWイサーク・キーセ・テリンだ。スウェーデン代表ながらアンデルレヒトで居場所を失ったテリンは、森岡とのコンビによって埋もれていた素質が復活。現在ベルギーリーグで得点ランキングのトップに立っている。
古典的タイプのトップ下ということもあり、なかには森岡を「絶滅危惧種の10番」と呼ぶ人もいる。彼のボールさばきやピッチ上での振る舞いには、たしかに1980年代の香りが漂っている。
サイドライン際に追い込まれた森岡が一気にふたりのマークをかわし、中央のスペースにボールを運んだシーンを「森岡モーメント」と名づけたコメンテーターもいた。ベルギーの専門家たちが口にする「森岡はベルギーリーグのトッププレーヤーのひとり」という言葉は、『スポルト・フットボール・マガジン』誌の採点ランキングで5位にランクインしていることからも証明されている。
この冬の移籍市場において、森岡は「マーケットの目玉」として注目されていた。「小クラブのベフェレンから森岡が卒業する時がきた」。そう、ベルギー人たちは彼の実力を認めたのである。
そうして森岡は、「ベルギー随一の名門」アンデルレヒトの紫のユニフォームに袖を通し、10番の背番号を背負ってプレーすることになった。
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