「育成のバルサ」に異変あり。
バルセロナBには3種類の選手たちがいる

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

 さらにバルサBは、育成と補強を掛け合わせたような選手も揃えている。トップ昇格を見据え、20代前半のルーキーたちと契約。スペイン国王杯でデビューを飾って話題を呼んだホセ・アルナイスはその筆頭だろう。レアル・ソシエダからレンタルされているダビド・コンチャ、ブラジルのフルミネンセから買い取りオプション付きで来ているヴィチーニョのふたりも、バルサBでのプレー次第で、トップに引き上げられるはずだ。

 すなわち、バルサBには「育成要員」「残留要員」「補強予備軍」の3つの選手タイプがいることになる。

「バルサは育成を捨てた」

 そんな言い方でこの方針を批判する人々もいるが、しかるべきアップデートといえるだろう。

 なぜなら、バルサは手塩にかけて育てた選手を"青田刈り"されるケースも少なくないからだ。セスク・ファブレガス(2003年、16歳のときアーセナルへ)、エクトール・ベジェリン(2011年、16歳のときアーセナルへ)のスキャンダラスな移籍は記憶に新しく、今年の夏には気鋭のアタッカーだったジョルディ・モウラをモナコに奪われている。

 ククレジャも、マンチェスター・シティ、ドルトムント、ローマなど強豪クラブから高額オファーを受け、もし本人に強い残留の意思がなかったら、引き止めることはできなかっただろう。また、18歳のブスケッツも来季で契約が切れるが、まだ更新は宙に浮いたままだ。

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