うらやましいぞ、イングランド。U-17W杯も制した、この強さは何だ (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 これまでのイングランド・サッカーというと、スピードやパワーといったフィジカル要素においては迫力があったが、裏を返せば、単調で大味な印象が強かった。少々極端に言えば、1966年に地元開催のW杯を制して以降、大まかな方向性を変えることなく、伝統を受け継いできたわけである。

 しかし、さすがの"サッカーの母国"も、伝統の力だけで世界と伍していくのは難しかった。W杯では1990年イタリア大会、ユーロでは地元開催の1996年イングランド大会での、ともにベスト4を最後に、最近では不甲斐ない成績のほうが目立つ。

 イングランド同様、無骨なイメージのあったドイツが、今や世界随一のポゼッションサッカーの使い手となったことも、イングランドの"ひとり負け感"を強くした一因だろう。過去にW杯優勝経験を持つ強豪国のなかでは、イングランドだけが時代の流れから取り残される格好となっていた。

 だが、ここに来て、時代遅れの伝統にすがるしかなかった古豪も、ついに生まれ変わった。若手育成のためのアカデミーに力を入れ、育成年代を強化。クーパー監督が、大逆転で優勝を勝ち取った試合を振り返り、「グレイト・フットボール。自分たちがやりたいことを見せられた」と胸を張ったように。その成果は二冠という結果以上に、ピッチ上で展開された質の高いサッカーにうかがえた。

 1990年代後半以降に一時代を築いたフランス、スペイン、ドイツという強豪国は、例外なく、まずは年代別代表で成果を挙げ、それをA代表につなげてきた。そうした過去の例から考えれば、間違いなくイングランド時代はやってくる。

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