ドリブラー乾貴士がエイバルを救う。
「念願のポジション」で2点演出

  • 山本孔一●取材・文 text by Yamamoto Koichi
  • 川森睦朗●撮影 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「勝ちたいですね。『3』がほしい」

 エイバルのホーム、イプルアで行なわれたリーガエスパニョーラ第10節レバンテ戦。2点をリードされながら2-2と追いついた試合後のミックスゾーンで、エイバルの日本代表MF乾貴士は何よりも勝利を渇望していた。

レバンテ戦の乾貴士は得意のドリブルで積極的に攻めたレバンテ戦の乾貴士は得意のドリブルで積極的に攻めた 1ヵ月以上も勝利から見放されている両チームの戦いに対し、スペイン紙『マルカ』はプレビュー記事で「火薬のない鉄砲対決」というタイトルをつけた。より深刻なのは、ホームのエイバルのほうだ。9月15日の第4節レガネス戦で勝利して以降、リーグ戦5試合勝ち星なしの4敗1分。5試合で計1得点16失点と、攻守ともに歯車が狂ってしまっている。

「前半の2失点。あれはなくさないと勝てない。今日のような試合をしてしまうと、やっぱり厳しくなる。ああいう失点は、ほんとにチームとしてなくさないと」

 レバンテ戦の前半は、まさに乾がそう振り返るとおりの展開だった。笛が鳴った直後から高いDFラインで前線にプレスをかけ、試合の主導権を握っていたエイバルだったが、35分と37分、守備陣の集中力が途切れてしまった2分間の、それぞれわずか数秒のうちに2本のシュートを被弾してしまう。

 逆転勝利を収めるには、今季の総得点(第9節まで合計3得点)を決めないといけない状況に追い込まれたホームチーム。霧雨が降るイプルアに集まったサポーターの多くは、そんな状況でも応援を続けていたが、苦しい戦いになったと感じていたはずだ。

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