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誰もがハダースフィールドを愛している

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】ハダースフィールドの物語(3)

 イングランド北部のハダースフィールド。この平凡な町のフットボールクラブが今シーズン、プレミアリーグ初昇格を果たした。未知の世界での戦いに、クラブ関係者やファンは何を思っているのか。シリーズ最終回は、クラブのレジェンドとも言える「オフィシャル・アンバサダー」と、半世紀以上にわたってハダースフィールドを見つめてきたファンの声を聞く。

ハダースフィールドの物語(1)から読む>>

[クラブ・アンバサダー]

 ハダースフィールドの町とクラブを象徴する人物をひとり挙げるとしたら、クラブの「オフィシャル・アンバサダー」を務めるアンディ・ブースだ。はじけるような笑顔を持つ人物で、きついウェスト・ヨークシャーなまりを話す。

 1973年、ハダースフィールドに生まれたブースは、ほどなくスタジアムに通いはじめる。

ホームでの試合前、ファンと記念撮影に応じるハダースフィールドの選手たち photo by Getty Imagesホームでの試合前、ファンと記念撮影に応じるハダースフィールドの選手たち photo by Getty Images「たぶん3~4歳のころから来るようになったと思う」と、ブースは言う。「両親がスタジアムの入場ゲートで働いていたから、一緒に出かけていた。3時5分前になったら、ひとりでスタンドに入って試合を見ていた」。1992年、ブースはハダースフィールドの若きストライカーとして、ファーストチームでデビューした。

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