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1部の夢かなわず。テネリフェ柴崎岳は
悲しみのなか無言で姿を消した (3ページ目)

  • 山本孔一● text by Yamamoto Koichi photo by Aitor Alcalde/Getty Images

 主審が鳴らした試合終了の笛は、昇格試合の恒例である観客のピッチ乱入の合図となり、コリセウム・アルフォンソ・ペレスのグラウンド上は文字通り青色に染まっていった。そして憤慨するテネリフェサポーターは椅子を破壊しピッチに投げつけるなど、スタジアムの空気は混沌としたものとなった。

 身の危険を感じたテネリフェの選手たちが早々にロッカールームへと戻る中、柴崎はベンチの中から全く動かなかった。遮断された空間の中、何をしていたのか、どんな表情だったのかはわからない。そして数分後、キャプテンのスソとともに足早に姿を消した。

 それが、この試合で柴崎の姿を確認した最後の瞬間だった。ミックスゾーンに姿を見せることはなかった。ヘタフェ関係者に柴崎のことを聞くと、両手の人差し指を両目の端に持っていき、徐々に下へと指を落としていった。

 本当かどうかはわからない。だが、掴みかけていたテネリフェ、そして柴崎の夢であり目標であったプリメーラ昇格が、あと一歩のところでその手からこぼれ落ちてしまったという悲しい現実が残ったのは確かだった。

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