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もはや柴崎岳は昇格プレーオフの主役に。
テネリフェ1部まで残り1戦 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by MarcaMedia/AFLO

 ミックスゾーンでホルヘ・サエンスはそう言って、柴崎の正確なキックに感謝した。

 柴崎がテネリフェの中心選手のひとりとなったことは、何もチームの中だけでの話ではない。スペイン各紙は試合前のプレビューでも、柴崎をキープレーヤーとして取り上げていた。スタジアムの記者席にいると、隣のブースのラジオの中継から、何度もスペイン語にはない「ガク」という固有名詞が聞こえてくる。逆サイドに設置されたテレビカメラは、しばしばアップで柴崎にフォーカスを合わせていた。

 テネリフェの街を歩けば、決して多くはないが日本代表のユニホームを着ているサポーターの姿があったし、どこで購入したのかわからないが、テネリフェのクラブの旗と共に日の丸の旗を持つ集団もいた。もちろん、こちらに向けて「ガク!」と声をかけてくる地元の若者が大勢いることは言うまでもない。

 スペインの人々を虜(とりこ)にしている柴崎。そのひとつの理由が彼のテクニカルなプレーにある。カバーに入った選手に止められはしたものの、瞬時の判断能力と高い技術スキルがないと見せることができない前半終了間際のルーレットは、スタジアムを酔わせるのに十分なものだった。

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