チェルシーを猛追するトッテナム。今季こそ、奇跡の逆転優勝なるか (3ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 内容はトッテナムが優れていたと見る人も多いだろう。スタッツはトッテナムが6割強のポゼッション、6本多いシュート、10本多いコーナーキックの数を示している。それでも彼らがこの大事な試合を落としてしまった原因は、ウェンブリーとの相性の悪さにあるのかもしれない。

 スパーズは今季、欧州カップ戦のホームゲームをこのフットボールの聖地で開催しているが、チャンピオンズリーグのグループステージでは2敗(モナコ、レバークーゼン)。その後に行なわれたゲントとのヨーロッパリーグでも、第1戦を敵地で落とした後のリターンレグで引き分けに終わり敗退している。若手の多いスパーズにとって、荘厳で独特な空気に包まれるウェンブリーは特別なプレッシャーがかかる舞台なのだろう。

 しかしトッテナムはFAカップ準決勝の敗戦を引きずらず、4日後に行なわれたリーグ戦でクリスタル・パレスを退けた。チェルシーもその前日にサウサンプトンを下したため、両者の勝ち点差は4のまま。tチェルシーのコンテ監督が「ユナイテッドに敗れた後、トッテナムとのFAカップがあり、その後にはタフなリーグ戦が控えていた。つまり我々は心理面の大きな試練を迎えていたわけだが、素晴らしい回答を得られた」と話せば、スパーズのマウリシオ・ポチェッティーノ監督も「昨季からの成長を目指す上で、ひとつのカギとなるのはメンタルの状態だが、チームは準備ができていることを示した」と精神面の充実を強調した。

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