柴崎岳の現状は3枚目のカード。それでもテネリフェに残る方法はある (3ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi Photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 柴崎のタレントを信じ、チームの勝利、攻撃の活性化などを一番に考えるのであれば、もっと多くの出場時間を与えていてもおかしくない。だが、現状では3枚目のカードとして、リーガ2部の試合のリズムに慣れさせることを考えているのだろうと思わせる起用方法だった。

 監督が柴崎を戦力として期待していることはわかる。だが、残された今季の試合数は9試合。しかもテネリフェは現在3位でプリメーラ(1部)昇格を狙っているチームだ。2位ジローナとの直接対決が次節に控えているように、ひとつも落とすことのできない戦いを続けており、柴崎の適応をゆっくりと待ち続けることは許されない。

 また、柴崎にとって悩ましいのはチームのプレースタイルだ。テネリフェはスピードのあるアマスを中心とした堅守速攻のサッカーを展開しているチームであり、中盤でボールが落ち着くことはなかなかない。

 だからこそ、日本人MFにはチームに新たな形をもたらすことを期待されているのだが、シーズン終盤に入って慣れ親しんだスタイルを変えるのは簡単なことではないし、コンビネーションを高めるためのチームメートのプレーや癖を知る時間も多くは残されていない。今のような短い出場時間を重ねるだけでは、契約延長を勝ち取るだけのパフォーマンスを見せることは、正直、厳しいだろう。

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